TRAVEL

8/8 ポーランド

もう一度、明るいうちにユダヤ人地区へ。

前回閉まっていたシナゴーグや博物館を見ることが出来た。

歴史フィルムの上映や写真資料が常設展示されている。

映画『シンドラーのリスト』にユダヤ人が墓石を奪われ、道路の敷石にされるシーンがあったが、ここは壁一面、壊された墓石だった。

「ドカーン!」と凄い音。

追いかけっこの子どもが、閉じかけたドアにぶつかった。痛くて転げ回っているが、みんなは大爆笑。

大きな市場をぐるりとまわって、旧市街までゆっくり歩いて帰る。

観光の見所は他にもあったのだけど、もういいかなと思って街の余韻に浸った。

チャリトルスキ美術館の周辺ではアート市場が盛んだった。この奥に進むとダビンチの絵が見れるのだが。そこへは行かず、最後に聖母教会のあの天上の像をもう一度写真に撮ろうと思った。

城壁の外を歩く事5分。

なんと教会の中は前回とは打って変わって、ニューイヤーのデコレーションで、赤や緑の電飾がチカチカ点滅していた。

初め来たときの薄暗い中の慎ましさとは全く違い、同じ像が光の中で輝かしい気品を放って見えた。

夜は毎晩、中央広場。

ここに行けば、暖かい食べ物も明るい音楽もあった。

グラス演奏の澄んだ賛美歌が、夜空に響いている。

負の世界遺産は漆黒の鏡だった。美しさとはまるで正反対の暗黒な史実に入り込む事で、自分の心の清さを期待する浅ましい自分まで映し出された。まったく、恥ずかしい私の正義でした。

凍る様なアウシュビッツの地下室が私の心にも増設された。それを思えば、何度でも新鮮に確認出来る事がある。私は健康で、正常で、暮らす限りの世の中は、気分次第でいつでも優しくなれるくらい平和だ。さよならクラコフ。

隣りのおばさんが、共感しないと治まらない様子で「ちゃんと撮れた?こんな朝日、滅多に無いわよ」と話しかけてきた。マグマの塊のような、情熱的な日の出だった。でも、太陽は毎日このように昇っていて、滅多に見ないのは私たちの方なのだろう。

それで、帰ってきてから数ヶ月後、私に初めての子どもが産まれました。命です。

しばらく海外旅行などは行かないと思うけど、大切な人と大切な日々を生きていこうと思います。

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