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8/8 タイ(バンコク)

会場がワイクーの音楽と喚声につつまれる。

勝ち負けは直接ファイトマネーに響く。「勝て」と送りだされる少年。「勝ちたい」と少年。

チャンピオン。努力の証明。金。家族の為。強さの高み。体ひとつだけ、勝つことだけ。

選手はみな10代からの少年。あどけない顔。引き締まった背筋。セコンドには、トレーナーと仲間と、母親。

ゴング。

ある家では、貧しさから子どもをムエタイの選手に育てる。スポーツ精神とは別の家族の絆みたいなものを感じる。

母さんの前で、闘ってる相手を、母さんの前で闘う俺が殴り倒す。いたたまれない気持ちになったけど、そんな感傷は消えた。日々の生活や将来をかけた闘いが目の前にあった。

ハングリーってなんだ?タイ、バンコク。リストラでクビになったサラリーマンの家族が、ゴミ投棄場の近くに小屋を立て暮らす。父さんが仕事探ししてる時、3歳からの兄弟はビニール拾って売りに行く。百円稼ぐために。そういうドキュメンタリーをテレビで見た。

母さんは、仕事探しに行く父さんと、ゴミをあさりに行く子どもに御飯つくって「いってらっしゃい」「おかえりなさい」家族という家を守る。何をしてでも家族で生き抜くタイの不況に比べたら、日本はどこか気取った生活の上での不況なのかな。

ハングリーって良いものなはず。人が関わり合う中でのハングリーさ、野生味みたいなもの。虚栄の剥がれる、根源の強さ優しさ。

何もごまかす事の出来ないリング上。

生活、夢や、人生や、家族や、自分自身、全部背負って、活き活きと闘う少年と、その家族がいた。

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