TRAVEL

8/8 チベット・中国(成都)

五日午後。路地裏の寺がよかった。

いわゆる人気スポットでなく、ガイドブックにもない普通の寺。

お坊さんが集団で読経するであろう本堂では、若いお坊さんが一人だけ掃除をしていた。

ダライラマ7世の大きな仏像と、千手観音。日除けの布に囲まれ、静まり返った薄暗い寺で、平穏を取り戻した。

薬王寺。数日前に来ていたのだが、もう一度写真を撮りに寄った。

観音菩薩の周りにいるのはタラというお手伝いで、それぞれに性格があるそうだ。

千手観音が「全ての手を差し伸べても人間の救いに足りない」と、落とした涙はタラになったのだという。

マニ車を回しに来る人たちに、例えば災いがあったとしても「まだまだ救いの手が足りない」と泣いている天上の存在が居る事が、どんなに心の慰めになるだろう。

いい話しだ。観音様の守りが及ばなかったところで、白いタラは人々の苦難を察知し、緑のタラは走っていって助けてやるのだという。

薬王寺を出たところから、川に向かって歩く。地図上で、水辺の向こう岸に何もない所へ行けば、開けた風景があると思った。

当たり。

夕方、植物の光合成が終わる時間、本当に空気が薄くなってゆくのを感じる。自分の命のメーターが、さーっと下がってゆくイメージ。立ち上がると、ズキーンと頭痛。少しずつの歩調で引き返す。おじいさんとおばあさんみたいだ。

明日は成都へ戻り。明後日、東京に帰る。

後日、旅行保険でおカネがおりて、ふところ痛まず最新デジカメに買い替える事が出来ました。タラが来たのかな。

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