TRAVEL

8/8 エジプト

色とりどりの音楽テープ屋。歌手は太った中年ばっかり。

市場とか、駅とか、人が集まっていて面白そうな行き先を適当に決めて進む私。

時々、相方がいることを目で確認しないと、後ろで車にひかれているかも知れない。そのくらい通りは激しく、信号は無いに等しい。

花屋。

地図は私が持ち、サイフは全て預けた。地理担当と金銭担当の完全分離。つまり、二人でいなければお互いに困るという状況をわざとつくる。

二人しかいないのだから、衝突したり、食違ったりするのは当たり前なのだけど、そんなときでも、共に行動しなければならない。

薬屋。複雑な煎じ薬の匂いとキツネ。

「結婚とは、二人が背中合わせに合図をして刀を抜いた100人の敵を相手に、刃の下を切り結ぶチャンバラ映画の様なもの」という遠藤周作の表現が良く分かる。

近くにいながら相手の顔を忘れてしまっても、信頼を分けて守り合わねば。二人で見知らぬ国へ、頼りも無く出かけるとは、そういう事だった。

お祭り気分の装飾がハッピーな肉屋。

一人の旅は楽だ。自分の事だけを気づかって、自分に返ってくる事なのだから、いいかげんでも構わない。二人でいるのは、大変な事ばかりなのだけど、そういう大変な気持ちや努力や問題なんかに、ぶつからずには得られないものがある。

一人でいては一生つかめない、幸福といわれているような、とてもおおきなものが、ホコリだらけの先の方に見えている。それは、二人でなければいけないんだ。

可愛い仔牛、売られていくよ。

エジプトは定時に放送されるコーランと、車のクラクションが一日中鳴っていた。一日歩いてナイル川近くに帰ってくると「あぁ、無事に戻れた」と気が抜けて、何も考えられなくなる。

騒音がとにかくうるさいのだ。

ナイル川とカイロタワー。この国の印象は、とにかくこの一枚。おおきな夕焼け。放心状態でのんびり橋を渡りながら、なんだかいろんな覚悟を太陽に重ねて見ていたりした。

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