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6/8 ポーランド

ビルケナウ。アウシュビッツよりもさらに広大な強制収容所。

オシフェンチムにこのような巨大収容所が出来た理由の一つは、元々、鉄道による輸送ラインがあったからだという。

各地から集まってくる路線が、一つの終着駅へたどり着く。

ユダヤ人の他に、ロシアなど敵対国の捕虜、ドイツ、ポーランド人でも政治犯、同性愛者、ユダヤ人をかくまった者、ロマと呼ばれたジプシーが送られた。

見渡す限り収容所。鉄条網、宿舎、そして焼却炉。

宿舎の中には粗末なベッドが、ぎっしりとひしめく。

映画で、囚人が何かを隠し持っていたり、巡回する見張りの目を盗み礼拝などを行っているシーンを見ると「監視は厳しくなかったのか?」と疑問に思っていた。実際の規模を見てしまうと、看守が全てに目を配るのは不可能だと容易に分かる。

鉄条網の外へは出れないが、このエリア内で、ある程度の集会は行われていた。見つかれば即、ガス室行きであったにしても、希望を分け合わざるを得なかったのだろう。

宿舎の両端に暖炉があり、レンガのトンネルでつながっている。この内部に暖められた空気が通り、全体の暖房となる仕組み。

労働力と見なされた者は軍需工場で働き、使い捨てにされた。水たまりに写るのも、同じ鉄条網。

この絶滅施設で、風景は美しかったのか。神々しい陽射しや、瑞々しい新緑が、目に映ったのだろうか。そのとき、雲間から光が差した。

死への急加速を生きる間、闇に、光に、最愛の家族の顔を何度も思い浮かべはしなかったか。

ポーランドは平野の国という意味。2時間ほどバスに揺られてクラコフに帰る。

お城付近で降ろしてもらい、ユダヤ人地区まで歩いて見たが、夕方を回ってどの店も施設も閉まりはじめた。

小さなシナゴーグが私を見て開けてくれたので、中で暖をとり休憩。

インターネットカフェで妻へ連絡。M-1グランプリでアンタッチャブルがやっと優勝できたと報告があった。

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