エルサレムの新市街は、小奇麗なお店が多い。街の外観を統一するルールがあるようで、ビルも一階部分にはあの荒野の色をしたイスラエル石が使われている。

行く先々で頼りにしていたトラベルインフォメーションが閉まっていた。そこのスタッフは公務員で、エルサレムは1ヶ月間のスト中なんだって。まいったな。

旧市街のダマスカス門へ。アラブバスの大きな停留所なんだけど、マーケットの騒々しさと、出入りするバスの雑多さにやられて冷静さを失う。

「ベツレヘムに今から行くなら急がないと、見どころが閉まっちゃうよ」パレスチナ人のドライバー兼ガイドにせかされ、タクシーに乗ってしまった。料金は高いがガイド付きでよかった。色々パレスチナ事情も聴けたし。

イスラエル軍の検問には私もパスポートを見せて通過。黄色いナンバーのタクシーを検問所に置いて少し歩くとイスラエル軍の見張りの関。コンクリで封鎖してるパレスチナ自治区内は緑ナンバーのタクシーで移動する。

ベツレヘム。メンジャー広場の空にはイスラム教のコーランの放送がこだましていた。

聖誕教会は大きな建物なのに入口は正面の小さい穴。春に、1ヶ月に渡る武装したパレスチナ過激派による人質立て籠り事件が起きたばかりだけど、突入は難しかったのだな。

イスラエルの多くの教会に共通しているのは、重要な場所や物を祀り、被うように建物を造る。なので、階段を降りる核へと進むと、遺跡や岩や古い祭壇が神々しく姿を見せる。

お土産屋は99パーセント閉店。観光客が少ないので商売にならないのだとか。

坂と階段と曲がりくねった細い道。

パレスチナのニュースを聞くとこの子のこと思い出す。

エルサレムに戻って旧市街へ。嘆きの壁、その後ろに岩のドーム、その後ろに鞭打ちの教会。隣り合わせだけど踏み入れない。宗教と民族の複雑な呪縛。

熱心なユダヤ教徒は黒い格好。帽子、ヒゲ、長く伸ばしたもみ上げは姫ロールしている。

夕方4時を過ぎると鉄の扉で戸閉まりが始まる。急に立ち込める物騒な雰囲気。不安になり走って出口を探すが、方向感覚が空回り。

初めてでは目印など全然わからない。入り組んだアーケード街は巨大迷路だ。

城壁の外に出れて心底、ホッとする。