
ムエタイが見たかった
キック虎の穴
1996年5月〜6月
ホントにもう、自分、どうでもよくなっちゃって、仕事をやめ、別世界旅行へ。
日本語と英語が通じるところはダメ。あさはかな自分が通用しない所へ。肩書きも、しがらみも無くて『物思う心』と『今までにしてきた経験』だけの自分が、そこで丸裸になっていた。不自由をどうにかすることにおいて、はてしなく自由。
自由気ままな一人旅の行く先は、タイ王国の首都バンコク。飛行機で隣に座った女の子たちが、プーケットに行くのだとヘソ出しファッションではしゃいでいた。はしゃぎすぎだよ、あんた!なんだ、ビーチか!そんなとこ行かないよ!
私はムエタイが見たかったのだ。生きるために、家族を食わすために最高峰のリングを目指す闘いが見たかったのだ。