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1/8 イスラエル・パレスチナ

羊は荒野色でした

 死海のほとり 

2002年11月

 遠藤周作が好きで、『深い河』を読んでインドへ飛び込んでみた私ですが、いつも心にあったのは『死海のほとり』でした。この小説は他の物語りと大きく違い、遠藤周作自身が現在のその地を旅行しながら、2000年前のイスラエルの群像に思いを馳せる形式で書かれている。そして、みすぼらしく小さい人生であっても人の為に生きたい、という気持ちを起こさせてくれる大切な小説。奇跡は無い、病気は治せないし、海の上も歩かない。

 「こんな時期にあんな日数、無職の間しか行けないでしょ」と、わがまま一人旅に送りだしてくれた相方に心から感謝。この旅は、この一冊を読んだ時の私の気持ちだけで行きたかった。一人旅でなければ行かなかった。そして、私は『死海のほとり』の世界へ。

 撮ればいいというものでは無いがシャッターは1500回以上切っていた。色々ありすぎた。イスラエルの人と関わったり、途方にくれたり、感動したり、いいかげんなアラブ商人に堪忍袋の緒が切れたり。旅の経過や雑感を書いたメモ帳のページが終わりそうになり、最後は細かい字に変わっていった。そういう旅行記はすごく個人的な『私の死海のほとり』として誰に見せるものでもないのだろう。

 写真を何枚か順番で紹介します。

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