
春を待つ国
あたたかい雪の街
2001年12月〜2002年1月
ドイツへ行くと決めてからは、周囲のリアクションがおもしろかった。「ビールのイメージしか無い」とか「アウトバーン以外に何かあるの」とか、一人につき上げる特徴1つしか印象に残らない国らしい。しかし、個々の意見を束ねてみると「テクノの国ですね」「ヘビーメタルの国でしょう」「ドイツのギャルバンにハズレ無し」「焼き物」「ナイフ」「自動車」「ビール」「ソーセージ」など、色濃い特徴がたくさんあるではないか。
そして、私はドイツに何を求めたかと言いますと、長い冬の灰色のドイツを見たかったのです。絢爛たる様式を競う芸術でなく、雪深い冬に春を待望する心の延長に湧き出てきたドイツの芸術。クラシック音楽に描かれる「春の訪れの歓喜」や「陽の光への憧れ」を理解したい。賛美の対象の緑の春で無く、その前季の灰色の冬を味わってみたかったのです。
行く先は、南へ降りてゆく田舎街。中世時代そのままの街並。日本の東北地方出身者のように奥ゆかしいドイツの人々。私の中ではインド以来のハッピーな衝撃。ドイツむちゃくちゃ好きになりました。